前回の実験が楽しかったので、さらにスケールアップして実験しました。方法は前回の記事と同じです。ただし、2点変更があります。
- スントの入門モデルであるAmbit3 Runも装着しました。
- Fenix5の設定をGPS + GLONASSに変えました(こちらの方が性能がいいという話を見たので)
実験2 矢田丘陵トレイルラン
のんびり休憩をはさみながらのトレイルランです。今回は距離に大きなばらつきがあります。
- Suunto9: 16.53km, 708m
- Ambit3 Run: 15.88km, 609m
- Garmin Fenix5: 15.43km, 734m
GPXデータを抽出すると、標高にも大きな違いがあります。下は距離を横軸に、標高を縦軸にとっています。1km付近は生駒聖天です。正しい標高を灰色の線で示しています。Ambit3 (緑)が一番正しい標高を示しています。10km付近で休憩をとっているのですが、ここで距離に大きな違いが生じます。
今度は横軸に時刻、縦軸に距離を示しています。11時45分~12時ごろに休憩をとったのですが、この際動いていないのにFenix5 (赤)とSuunto9 (青)の距離が増えていきます。
Google Earth Proで観察すると原因は明らかです。休憩時間にFenix5とSuunto9は信号が暴れまわっています。特にSuunto9(青)がひどく、最大90mも離れた地点を示しています。
この休憩時間にSuunto9, Fenix5ともに距離が1km増えています。
そのほか気になるのが標高のずれが大きい点です。
Suunto9 (青)は高度が大きくずれ、空を飛んでいるような軌跡になっています。最大30m高くなっています。Garmin Fenix5(赤)もずれています。Ambit3 Run(緑)ではそのような傾向はみられません。
軌跡はどの機種も不正確です。舗装路を走った区間を調べてみるとどの時計も上手になぞれていません。
谷間の舗装路を走った区間。どの時計も道路(細い緑線)からずれている。最大20mのずれがある。
見晴らしの良い橋を渡ったところ。どの機種も橋の上を通っていない。Ambit3(緑)が橋に一番近いが。
結論:今回はAmbit3が一番正確そうな印象です。Suunto9とFenix5はどちらも標高の測定、止まっているときの処理に大きな問題がありました。
実験3
次に、比叡山のトレイルランで3台を試しました。今回はSuunto9(青線)のパフォーマンスが際立って悪い結果となりました。Suunto9は瓜生山から何度もシグナルを失ってワープしています。ワープしたところは軌跡が直線になっています。
横軸に距離、縦軸に標高を示します。Suunto9はシグナルを失ったことが影響したのかほかの二つと距離が大きくずれています。一方、標高についてはどの時計も同じような数値を出しています。最高点は石鳥居で、その標高を灰色で示しています。どのウォッチも大体正確に測れているようです。
結論
前回はFenix5の一人負けでしたが、今回はFenix5, Suunto9ともにいまひとつの結果となりました。実験2では標高のずれが大きいのですが、実験3では標高は正確です。日によって標高の正確さが変わる原因は天気でしょうか。
距離の測定はシグナルを失うと大きくずれるようです。実験1ではFenix5, 実験3ではSuunto9がシグナルを失っていました。木など遮蔽物が原因と思いますが、同じ日、同じ場所でも機種によってシグナルを失ったり失わなかったりする理由は分かりません。
全体として、GPSウォッチを数回使っただけで性能を測るのは不可能と感じました。日によってパフォーマンスが大きく異なるからです。おそらく、衛星の位置や天気が日によって異なるのが原因です。Fellrnrでは100ラップ以上のデータをとってGPSウォッチをベンチマークしています。定量的な方法で回数を重ねないと真の性能は測れません。普通のギアレビューでは不十分と思います。
驚いたことに、高級機種のGPS性能が特に良いわけではないようです。今回の実験では2万5千円くらいで買ったAmbit 3 Runが一番安定していました。これはGPSウォッチを買い替える際に意識した方がいいです。
友達と走ると大体GPSウォッチの数値にずれが出るものですが、その原因の追究は非常に難しいと感じました。