緊急事態宣言下でのランニングについての指針

前回、COVID-19流行下でのランニング大会運営の指針について書きましたが、COVID-19についての知見が増えてきて考えが変わりました。現在はCOVID-19が収束するまではどのようなランニング大会も開催すべきでない、と考えています。なぜなら、無症候性キャリアの感染拡大における役割が大きいと示唆する情報が増えてきたからです。今年どころか、来年すら大会の開催は難しいかもしれません。

では、走るのをやめるべきかというとそうは考えません。イタリアなどの外国ではジョギングなども禁止されていますが、緊急事態宣言を首相が説明した際(2020年4月7日)、ジョギングや散歩を制約するものではないとありました。しかし、調子に乗ってジョギングクラスターなど発生してはランニングすらできなくなる可能性もあります。

人と人との接触を減らして、再生産指数(R0)を減らす政策の主旨を踏まえ、緊急事態宣言下での安全なランニングについて私案をまとめました。

1. 友人と走らない、イベントをやらない

人と人との接触を減らすのが目的です。友人と走るのはやめましょう。イベントもやめましょう。一人か、同居人と走るだけにしましょう

2. 公共交通機関を使わない

公共交通機関では不特定多数と接触します。公共交通機関を利用するのは通勤や生活必需品を買うための必要悪と考えましょう。山には走っていくか、自家用車で行きましょう

3. 手指消毒剤をもっていく

長時間の練習には食べたり飲んだりがつきものです。汚い手での飲食は避けたいものです。手指衛生を徹底しましょう

4. 公共浴場を使わない、外食しない

更衣室での感染が疑われる例もあるようです。公共浴場を使うのは控えましょう。練習後のラーメンも論外です。練習が終わったら家でシャワーを浴びましょう

5. 人の少ないルート、時間帯を選ぶ

他人と接触する機会を減らしましょう。練習も快適にできるし、一石二鳥です

私が示しているのは根性論ではなく、おそらく長期戦となるCOVID-19と付き合いながら走り続けるための方策です。最近出た予測モデル(Kissler et al. Science 2020 eabb5793)では、効果的な社会的隔離ができれば、正常な社会に早く戻れることが示唆されています。中途半端をしていてはさらに長引きます。この難局を健康的に乗り切りましょう。